内藤ゼミへようこそ

 

このページは、筑波大学国際総合学類2015年度内藤ゼミの案内です。

オープンゼミのおしらせ:

内藤ゼミでは、オープンゼミを来週の11月12日(水曜日)1:45分より3K227で行います。現在国際総合学類2年生で、3,4年で内藤ゼミの履修を考えている学生は、ぜひ参加してください。 オープンゼミを無事終了しました。参加してくれた学生ありがとう。 オープンゼミに参加していない学生でゼミ見学に関心のある学生は、メールで連絡を下さい。また、自分が何を勉強したいのか分からない(結構2年生ではそういう人も多いです。)人は、いろいろな先生のオフィスに訪れて先生と直接話をしてみることを勧めます。頭のなかでいろいろ想像するより、直接会って話してみて、はやりこの先生のゼミにしよう、と直感がわく場合も多いです。教員一人に対する生徒の比率が非常に低いのが国際総合学類の特徴です。いろいろな先生にあって、耳学問をするのは、良い選択だと思います。授業だけでは見えない側面が見えてきたりします。

 

自己紹介

一橋大学経済学部卒、University of Michigan Ann Arborで経済学博士取得、そのあとNYのシラキュース大学、カリフォルニア大学アーバイン校、大阪大学社会科学研究所で教えていていました。

専門は、公共経済学、開発経済学、国際貿易、マクロ経済学, 労働経済学です。もともとは、最適課税理論という、「ある一定の税収を確保しなければならないときに、どのような課税パターンが経済にとって最適か」という問題を理論的に研究する最適課税の分野で研究をおこなっていました。現在では、より応用性の強い問題(データを使った政策の分析、政策のSimulation, 経済的因果関係の実証分析)に関心があります。

 

数年前には、日本の少子高齢化問題、社会保障の破綻を解決するためには、移民受け入れしかないのでは、という問題意識から移民受け入れの経済効果を分析した研究書を出版し、日本で一番権威の高い「日本経済図書文化賞」という賞を受賞しました。(受賞記事のリンク1受賞記事のリンク2

私が今関心がある分野は、途上国にかんするもの、先進国に関するものの2つあります。途上国に関しては、途上国の人的資本蓄積、途上国の乳幼児死亡率の決定要因、HIV の人的資本への影響、途上国における季節的気候変動が与える栄養状態への影響です。

先進国に関しては、労働市場の分析、企業の海外移転の日本への雇用への影響、 移民受け入れ、人的投資、企業投資などです。現在、日本の労働市場でおこなわれた時短政策が雇用や賃金にどのような影響を与えたかを分析しています。また日本企業の海外進出が、日本の経済にどのように影響を与えたかも分析しています。

 

 

 

2015年4月から始まるゼミに関して

 

本ゼミは、水曜昼休みと3時間目あるいは3,4時間目で、初めは、マクロの経済成長理論の本をよみ、その後、アメリカや途上国のミクロデータを使ったミクロの実証分析の論文の輪読、教育政策、HIVと経済発展、環境と乳幼児の健康、開発経済学、公共経済学、労働経済学の論文の輪読などをします。2学期の途中からは卒論独論発表に入ります。

サブゼミは、月曜3時間目2時間目で、計量経済学の本を学生だけで輪読して自習します。使う本は、Stock and WatsonのIntroduction to Econometric Analysisという本で、応用例が多く分かりやすい本です。またこの本には、実際の実証分析で使われたデータが、演習問題として収録されています。宿題では、ときどきこの演習問題を課します。データをダウンロードして自分で統計ソフトを使って分析する必要があります。この過程を通じて、統計学や計量分析が学生にとって机上の学問でなく、使えるツールになってもらいます。入ゼミが許可された場合は、2月始めから、統計学・計量経済学のサブゼミ(月曜3時間目)を行います。このサブゼミに参加できない人は、ゼミに申し込まないでください。ときどき私も顔をだして、質問したり、宿題をだしたりします。このサブゼミは、夏休みを除いて、3年10月いっぱいまで続きます。

 

春c、秋cの時間は定期ゼミは行わず、ゼミ合宿等で集中で行います。cの期間のゼミは、ゼミ合宿で代替することになります。もしゼミ合宿に参加できない場合、cの期間のゼミは欠席という扱いになります。

 

ゼミでの成績は、ゼミへの出席、議論のために課せられた文献を読んできているか、ゼミで積極的に参加しているかによって決めます。

欠席の場合は、参考文献以外に宿題として論文を1本読んできてもらい要約レポートを提出してもらいます。

 

 

 

 

 

内藤ゼミでは、以下のようなゼミ生新3年生を6名程度、募集します。

 

1.社会現象、経済現象に関して強い好奇心を持っていること

2.経済学を勉強したいという意欲を持っていること。

3.ゼミ(水曜日昼休みと3時間目または3時間目と4時間目)、サブゼミ(月曜2時間目、自分たちでの自習)、とも欠席せずに参加できること(4年生はサブゼミなし)。 (ゼミはテストなどはありませんが、授業の一環です。当たり前の事ですが、就職活動、病気以外の理由での正当な理由がない欠席の多い学生は、単位を与えることができません。その場合は、他のゼミへの移動を勧告します。)

4.経済学関連の授業をまだ履修していない場合は、来年度から履修することを約束できる事

5.ゼミの行事に積極的に出席できること 

6. 9月下旬の夏合宿、1月下旬2月上旬の冬合宿に参加できること

7.君たちは、あと2年で卒業して社会人となります。社会人予備軍ととしての責任ある行動ができること。(ゼミを連絡なしに休まない。他人の発表は聴いて、積極的にコメントする。提出期限は守る)

8.スキー、山登り、テニス、ソフトボール、トレイルランニング、ロードバイクなどのスポーツが得意な学生は大歓迎(私が好きなため)。私が知らないスポーツも大歓迎です。私も学生から何かを学びたいと思っています。

9.ゼミで多様な人材があつまるように、成績で選抜はしません。これは、私が、大学1,2年生の時には、山岳部で山ばかり登っていたので成績があまり良くなかったという事もあります。3年生の時、心をいれかえて、非常に勉強するゼミにはいり、それからしっかり勉強を始めました。その後、経済学の面白さに目覚めて、研究者の道をえらびました。私の指導教官が、成績でゼミの選抜を行っていたら、たぶん今の私はなかったと思います。 また過去、ゼミの学生をいろいろ見てきましたが、ゼミでの伸び具合と入った時点での成績は全く相関がないことが分かりました。それよりも、やる気を重視します。

10.ゼミの幹事希望者、ホームページ係希望者、国家公務員試験受験予定者は優先します。

 

 

ゼミの学習目標としては、

 

1.教科書の輪読や論文の輪読、ディスカッションを通じて、社会に出てから必須の、バランス感覚を養う。とくにバランス感覚をそなえた経済学のセンスを養ってもらう。(経済を大きく見るマクロのセンス、ロジックや理論が分かるミクロのセンス、データを解釈できる統計学のセンス、政策がわかる政策分析のセンス、モデルを通じて思考できる抽象化のセンス。)これらを、いろいろな論文や教科書を読み、皆と議論し、自分で独立論文、卒業論文を書くプロセスを通じて養ってもらう。

2.数学、統計学のエキスパートになる必要はないが、(もちろんこれらに強いのは望ましいが)、すくなくとも必要な時は自分でマニュアルを読んで、数学、統計を使える程度にはなる。どんなあたらしい数学、統計でも、自分でマニュアルを読めば理解できる、という自信を身につける。マーケティングや政策分析で統計を使えるようになる。自分でプログラマーになる必要はないが、プログラマーに(たとえばマーケティングや政策分析に関して)どういう指標を作ってほしいか、説明できるようになる。

3.社会で起きていることに常に関心をもつ。

4.15年後に重要になりそうな社会・経済問題、あるいは自分が面白いと思う「問い」を、ゼミでの議論などを通じて見つけ出し、自分で仮説を立てて、その仮説を調べてみる経験をする

5.ゼミの仲間とcollaboration, cooperation, communicationして共同作業の重要さを理解する

6.経済学の考え方を身につける。

7.よい卒業論文を書く

の7つを目標に置いています。

 

ゼミの申し込みの仕方と選抜

内藤ゼミを第一志望としている学生は、12月4日AM10:00までに、以下の内容をA4レポート8ページにまとめて、成績証明書をスキャンしたものと一緒にメールで私に提出してください。第2志望の人は、1次募集では申し込まないでください。

面接は12月5日に行います。

2次募集に関して。

今回、2次募集をおこないます。ゼミでの最低人数は4人と考えています。面接の合格者が4人以上いる場合、ゼミを開講したいと思います。締め切りは1月26日の正午、面接は1月27日に行いたいと思います。

 

ゼミに関心のある人は、申し込み前に私のオフィスに来て、私と話をすることを強く勧めます。ゼミの学生の選考に関して、悪い方向には働かないとおもいます。逆に、事前に私とあっていない学生は選抜される確率は下がると思います。また、ゼミに入ってから私の問題意識と学生の問題意識が異なるということがないためにも、事前に私のオフィスに来て話をすることを勧めます。

 

ゼミ紹介でも言いましたが、成績でゼミの許可を決めません。多様な人材が入るように、最大限考慮します。 また将来、上級公務員試験を受けることを考えている人も歓迎します。

 

ゼミ志望書の内容

1.自己紹介、内藤ゼミが第1志望かどうか(第一志望でない人は、1次募集で申し込まないでください。)

2.月曜2時間目のサブゼミおよび水曜日昼休みと3時間目あるいは水曜日3時間目と4時間目(週による)の本ゼミに参加できるかどうか。(サブゼミに参加できない人は申し込まないで下さい。)

3. 高校生のとき、なぜ国際総合学類を志望したか。

4.高校生から、大学2年生の現在までどのように関心が変わってきたか。

5.大学でいままでどのような問題意識で、何を勉強してきたか?

6.現在関心のある社会現象。それはどうしてか?それに関してどのような本を読んだか?その本の感想は?貴方は、それに関してどう思うか?なぜそう思うのか?

7.いままで, 大学に入学以来、どのような本(とくに経済学、政治学、法律学、国際関係学、地域研究、人類学、社会学、歴史、開発学、哲学、自然科学)を授業以外で読んで、感想をもったか。もっとも印象に残った本4冊に関して、なにゆえ強く印象にのこったか。あなたのその本に関する感想は?4冊それぞれに関して述べてください。

8.(a)ゼミの志望理由、(b)内藤ゼミで何を期待するか。(c)貴方は、ゼミでどのような貢献ができるのか。

9.卒業後の希望進路(できるだけ詳しく)

10.私のゼミで、卒論のトピックとして何を研究したいのか?

11.これまで、履修した経済学関連の科目(参考資料です)。選抜の基準には使いません。

12. 1次募集で応募せず、2次募集で応募する理由(2次募集の学生対象です。)

 

 

 

以下は、ゼミに関するQ&Aです。質問がたくさん来たので代表的なものをまとめました。

ゼミに関するQ&A

Q.3年の夏から留学予定ですがOKですか

A.全くOKです。留学は視野を広げるためにも経済的に余裕があれば勧めています。

Q.独立論文は必修ですか

A.独立論文は必修ではありませんが、そのようなものは書いてもらいます

Q. 今留学中で成績証明書がだせません。ゼミを申し込むときにどうしたらよいですか。

A.いままで履修した科目とその成績を書いて提出してください

Q.ゼミは英語でおこなわれますか?

A.本当は英語で行いたいですが、おこなうとdiscussionにならないので、日本語で行っています。もし参加者の75%の合意がえられれば、英語でおこなってもよいと考えています。

Q. ゼミで先生は何をおしえてくれるのですか?

A.ゼミは、通常の教師から生徒への一方的な情報伝達という形式ではありません。学生が、与えられた課題文献を、自分で読んで発表し議論し、それに関して皆で議論する、あるいは自分で調べた研究トピックに関しての研究成果を発表して、皆で議論するという形式です。ですのでゼミで養うことを目標としているのは、自分自身で考える力、読んだことを、自分自身の理解できる言葉に置き換える事ができる能力、内容が難しくて理解できない時に分かる部分から理解し、内容を想像する能力、自分の主張したい内容を説得的に説明するための例や実証分析を示す能力、簡潔に発表する力、他人の発表を聞いて理解しコメント質問をする能力、議論が錯綜しているときに整理する能力、自分で調べて他人を納得させる結論を導ける能力です。

いってみれば、通常の講義が知識の獲得を目標としているのに対して、ゼミは知力を上げることを目標としています。知識はgoogleで調べればすぐに得ることができますが、知力はそうはいきません。 実際社会において重要視されるのは、知識ではなく、知力であるため、ゼミの活動は非常に重要であると考えています。

ただし、マクロ、ミクロの基本的な事、計量経済学の基本的な事、学生がつまづきそうな事は、必要な時はゼミで教えます。

Q. 国家公務員試験の受験を考えていますが、先生のゼミは役にたちますか

A.現在一般的に就職状況が悪く、国家公務員試験、地方公務員試験を考える国際総合の学生は多くいます。ゼミが予備校のような受験対策クラスを提供しないという意味では役に立ちません。ですが、財政学は公務員試験の重要科目であり、私の専門の公共経済学は一昔まえは財政学とよばれていました。また経済学も公務員試験の重要科目です。ですので筆記試験に関して、どのように勉強をすればよいかはアドバイスできます。また現在公務員試験で重要視されているのは筆記試験の後の面接です。ここで経済学的な見方ができるかのセンスが問われます。ゼミのディスカッションを通じて経済学的センスを磨くのは非常に重要だと思います。私のゼミで数年前に国家公務員試験をうけ、現在経済産業省で働いている卒業生もいます。他の経済系のゼミでも、卒業生で厚生労働省で働いている学生もいます。経済系のゼミで、経済学のセンスを養うのはわるくない選択だと思います。

Q. 卒論のトピックは先生の研究テーマに近くなくてはいけないのでしょうか?

A.卒論にあたっては、学生にトピックの選択が、卒論を面白しろさの50%ぐらいを決めるといっています。そして、私の専門に関係なく、15年後ぐらいに重要になりそうな社会問題、経済問題に関して研究しなさいといっています。私は、経済学研究者の中ではかなりジェネラリストであると自負があります。これは、私が研究をはじめた専門分野が公共経済学という政策を評価する分野のため、いろいろな事を知っていなければならない学問だからです。君たちの卒論のトピックは、どんなものでも、かなり深く理解する自信があります。ですので卒論のトピックは全く自由です。あなた方の創造性を100%発揮して、面白いトピックをみつけてください。

Q.ゼミの行事はどのようなものがありますか

A.これは学生の主体性によります。非常に主体的な学生が多い年には、学生がみずから企画して、夏ゼミ合宿、ゼミのテニス大会、冬ゼミ合宿などをやりました。夏ゼミ合宿は、那須にある公共施設「国立青年の家」に宿泊しました。勉強、テニス、バーベキューと那須岳登山をしました。冬ゼミ合宿は、群馬大学の「草津セミナーハウス」に宿泊して、スキーをしました。勉強もする予定でしたが、私も皆もスキーがしたかったので勉強はしませんでした^^;

スポーツデーのソフトボール大会に参加したり1秋の夜に筑波北公園のナイターでテニス大会をしたこともあります。学生の主体性によります。

今年は、山中湖湖畔にある筑波大学の宿舎にとまり、バーベキュー、勉強、飲み会、登山、温泉を楽しみました。来年度はテニスも入れたいと思います。いつの日か、希望者がいれば、夏合宿で富士山登山をしたいとおもっているのですが、そこまでの希望者はいないようです。冬合宿では、昼間は、スキー、夜は、卒論発表、独論発表、を行いました。

Q.先生のゼミに入りたいのですが、先生の授業でCをとってしまいました。こんな私でも先生のゼミにはいれますか?

A.ゼミの申し込みで書いてあるように、成績だけで入ゼミを決めることはありません。ゼミでのディスカッションを活発にするため、多様な学生が入ってくるように最大限の考慮をします。実際、私のマクロ経済学でCを取った人もゼミにいます。また2年の時に履修していなかった人も入っています。ゼミへの選考に当たっては、本人のやる気を見ます。

Q.データを使った実証分析を卒論で書きたいのですが、先生のゼミで、できますか。

A.現在私の研究関心の半分以上は、データを使った実証分析です。ですのでもちろんできます。私のゼミでもほとんどの学生は、理論ではなく、データをつかった実証分析で卒業論文を書いています。

Q. 私は、スキーもスノーボードもテニスもできません。こんな私でもゼミに入ることができるでしょうか。

A.スキースノーボードを全くやったことがない人もゼミのスキー合宿に一緒にいって楽しんでいました。もしあなたが、新しいことを学ぶことに関心があるのならOKです。 経験者が2名しかいないにも関わらず、テニス大会をしたこともあります。全く気にしなくてOKだと思います。経済学の新しいことを学ぶ事と新しいスポーツを学ぶことはすこし似ています。両方とも、最初始めるときにすこし勇気がいることです。もしあなたがその勇気があるならOKです。

Q.私は、社会学類所属ですが先生のゼミに参加できますか。

A.このゼミは、国際学類の科目に登録されています。ですので、このゼミに参加したとしても社会学類のゼミの単位には入れることができません。その事を理解したうえでならば、ゼミの参加は問題ないです。応募要領通りに応募してください。

Q.私は、大学院志望です。先生のゼミは向いていますか。

A.いままで、アメリカと日本の大学で教えてきて、私のゼミを経て大学院にすすみ、経済学の博士号を取得している人+あとわずかで取得の人=4名います。(最終的にアメリカで博士号を取った人3名、日本で取った人1名。) 大学院に進学を志望する場合、まず経済学に関する学力の向上が大事です。ですので、私の研究分野に縛ることはせず、経済学全般の学力向上を目指し、かつ学生のやりたい研究をやらせています。彼らの最終的な経済学博士号の博士論文の研究の分野はいろいろで、労働経済学、環境経済学、マクロ経済学に関するものです。 もし大学院志望の場合は、彼らに指導したように、どのような本を3年時終了までに読めば良いのか、どのように勉強をすれば良いのか、躓きそうなことなどを教えます。

 ただし、研究者としての道は、才能の向き不向きが大きくあります。これは残念ながらやる気だけでは解決できない問題です。経済学は、ある程度、社交性があり、いろいろな社会問題に関して議論がすきな人が向いています。また頭の良さももちろん必要です。また、将来、日本の大学で研究者として働きたいと思っている場合、日本はこれから超少子化社会になるため、これから大学はますます淘汰され、君たちが博士号をとったとしても、日本では就職できない可能性が高いわけです。となると、研究者になった場合、北米やヨーロッパや途上国の大学で働く事になります。そのような事がストレスに感じる人は、やはりこの仕事は難しいかもしれません。また大学院まですすんで途中で、諦めた場合、かえって就職状況が悪くなる可能性が大いにあります。いわゆる高学歴ワーキングプアーという現象です。こういう事情があるので、大学院に進むと言う決定を安易には、して欲しくないと思っています。

 ですので、3年の秋ごろに本人の才能などを見て、向いているか向いていないかを、アドバイスします。もちろん、私のアドバイスを受け入れる必要はありません。最終的に決定するのは、学生自身です。

 

Q.先生のゼミは理論中心ですか、それとも実証中心ですか。

A.現在の経済学の研究は、実証分析が7割から8割を占めるようになっています。それには理由があります。どのような学問でも初期には、データや観察数がすくないため、数少ないデータを見たうえで、それと整合性のあるように演繹的にモデルをつくって、理論を研究してゆきます。そしてデータや観察数がふえてくると実証分析や実験研究のシェアが増えて行きます。

経済学でも同じことがいえます。コンピュータの発達、マイクロデータの爆発的な増加で、経済学の研究スタイルが大幅に変わってきました。まず政策分析においては、理論だけでは机上の空論になってしまうので、もちろんデータに語らせる必要があります。また経済学研究でも、まず理論の本質を理解し、その本質がデータであらわされているのか、表せないのなら、ならどのような理論の修正が必要かを研究するというようなスタイルに変わってきたこともあります。

と言っても、理論の有用性がゼロになったわけではありません。理論は、概念を整理するのに非常に有用です。またデータを見たときに、どこが理論と整合性がないかも、理論を知らないと分かりません。 また政策を分析するとき、なにが問題であるのかを理解するのにも、理論は有用です。

ですので、ゼミの初めの方ではすこし理論を勉強し、そのあと政策を分析している論文をよんだり、データを検証している論文に入るというステップをゼミでは取っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考資料1:現在の学生が作ったゼミのホームページです。

参考資料2:以前ゼミの学生がつくった学生用のゼミのホームページです。yahooに作ったそうですが、いまでもなぜか残っています。