内藤ゼミへようこそ

 

このページは、筑波大学国際総合学類2019年度内藤ゼミの案内です。

 

 

2019年4月から始まるゼミに関して

(11月15日(木曜)、3K326で8時40分からオープンゼミを行います。関心のある人は、自由に来てください。事前連絡は必要ありません。)

内藤ゼミは、多様な経済現象を、データと経済学のロジックで分析するゼミです。ゼミでは、多様な意見こそが創造力の源泉であるという考え方から、できるだけ多様な学生を受け入れたいと思っています。経済学を本気で勉強したい人から、経済学に苦手意識がある学生、海外での放浪が好きである、将来留学を考えている、スポーツが得意、サークルで頑張っているなど、いろいろ個性のある人も募集します。ゼミの中で面白い議論ができることを期待しています。数学に苦手意識がある人も、積極的に受け入れています。ゼミ生のなかには、数式をみるだけで頭が痛くなると言っていた学生もいましたが、今ではしっかり統計学と計量経済学をマスターしています。

 

本ゼミは、木曜1時間目2時間目に行います。

サブゼミは、月曜2時間目で、統計学と計量経済学の本を学生だけで輪読して自習します。使う本は、Wanacott-WancottのStatistics for Business and Economicsという本と、Stock and WatsonのIntroduction to Econometric Analysisという本で、応用例が多く分かりやすい本です。

 

3年の4月になった時点である程度、統計学計量経済学がつかえるようになるために2年生の1月の後半からサブゼミをはじめます。

 

統計・計量経済学の学習は、すこし退屈かもしれませんが、ドライブに行く場合の自動車免許書と思ってください。自動車の免許書は、旅行の本質ではありませんが、遠いところでの景色を楽しむためには必要です。自分でプレゼンをすれば分かりますが、データに基づいた説得を行うのと、「そうだろう」「そうかもしれない」という想像だけの話で説得を行うのでは、全く説得力が違います。また3人程度にインタビューして結論を出すのと、1000人のデータから結論を出すのでは、話の説得力が全く違います。現在では、ビッグデータとしてセンサスや健康保険のレセプトなどのデータが研究のために個人情報を隠した上で研究者に公開されています。(日本以外のほとんどの国のセンサスデータがウェブ上で公開されており、研究計画書を申請すればアクセスできます。)

サブゼミで使用する計量経済学の本には、実際の実証分析で使われたデータが、演習問題として収録されています。宿題では、ときどきこの演習問題を課します。データをダウンロードして自分で統計ソフトを使って分析する必要があります。この過程を通じて、統計学や計量分析が学生にとって机上の学問でなく、使えるツールになってもらいます。入ゼミが許可された場合は、2019年1月中旬から、統計学・計量経済学のサブゼミを行います。このサブゼミに参加できない人は、ゼミに申し込まないでください。ときどき私も顔をだして、質問したり、宿題をだしたりします。このサブゼミは、テキストが終われば終わりにします。

ゼミでの成績は、ゼミへの出席、ゼミで積極的に参加しているかによって決めます。欠席が多い人にはCあるいはDをつけます。

春c、秋cの時間は定期ゼミは行わず、ゼミ合宿等で代替することになります。もしゼミ合宿に参加できない場合、cの期間のゼミは欠席という扱いになります。

 

独論、卒論のトピックの選択に関しては、学生の関心を尊重しています。その関心に沿う形で、良い卒業研究をしてもらえれば、それで十分と考えています。

最近の学生の卒論、独論のトピック例では、

 

1.イギリスにおけるBrexit国民投票において、移民の存在は、投票に影響を与えたのか。

2.マラウィにおけるHIVとクレジットアクセスの関係

3.ヨーロッパサッカー市場における、労働市場自由化の影響

4.移民受け入れが、社会的弱者におよぼす影響:米国での移民受け入れが障害者への雇用へ与える影響の分析

5.コンビニエンスストアの犯罪抑止効果の研究:草加市のコンビニ地理情報、犯罪発生マップデータからの分析

6.進学からの賃金上昇がどの程度、進学へのインセンティブに影響をあたえるか。アメリカのセンサスデータ800万サンプルからの分析

7.人種差別と賃金格差:アメリカプロバスケットボールリーグにおける黒人差別の実証分析例

8.「インドにおける、女児出産への奨励金が、女性差別を減らすか」という実証研究

9.人工衛星のNightLightを使った、災害規模の測定:パキスタン2010洪水のケース

 

 

私自身の最近の研究としては、

1.途上国におけるHIVが、人的資本蓄積にあたえる影響の分析

2.フランスにおける移民受け入れと失業の関係の分析

3.日本における移民の受け入れと日本人の人的資本蓄積の関係

4.途上国におけるmobile moneyの人的資本蓄積への影響の分析

5.途上国における森林伐採とclean waterへのアクセスの影響:人口衛星データを使った分析

 

などの分析をしています。

 

わたしの研究分野は、公共政策なので、かなり広い事柄に関心をもっています。ですので、ある程度政策が関連しているなら、たいていトピックは適切に指導できるとおもいます。私自身の最近の研究としては、移民に関するあらゆる事柄すべて、日本における移民受け入れに関しての研究、globalizationと途上国における児童労働、人口と経済成長、環境と最適環境政策などです。特に移民政策に関しては、アメリカ、日本、ヨーロッパのデータを使って精力的に研究しています。この分野に関心がある人は特に歓迎します。最近は、移民に関する本を書き、日本で一番有名な経済学の賞を受賞しました。

http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%8A%9B-%E5%86%85%E8%97%A4-%E4%B9%85%E8%A3%95/dp/4532133718/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1446112552&sr=8-1&keywords=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%8A%9B

ゼミの受講条件としては、

1.ゼミ(木曜日1−2時間目)、サブゼミ、とも欠席せずに参加できること(4年生はサブゼミなし)。 経済学関連の授業をまだ履修していない場合は、来年度から履修することを約束できる事

2.ゼミで多様な人材があつまるように、成績で選抜はしません。経済学に自信のない人も、経済学を学びたい人もいろいろ取りたいと思っています。その方が、ゼミでの議論が活発になると思います。できるだけゼミに入りたい人は全員入れるようにします。ゼミの学生をいろいろ見てきましたが、ゼミでの伸び具合と入った時点での成績は全く相関がないことが分かりました。それよりも、やる気を重視します。

 

 

ゼミの申し込みの仕方と選抜

内藤ゼミを第一志望としている学生は、12月5日PM6:00までに、以下の内容をA4レポート4ページにまとめて、成績証明書をスキャンしたものと一緒にメールで私に提出してください。

面接は12月6日午後から行います。

 

過去の卒論独論合宿の写真とビデオです

 

https://drive.google.com/folderview?id=0B4_encO2TpxeRDhJQXFNdDBIaUk&usp=sharing

https://www.youtube.com/playlist?list=PLdxMIhig-h1oCsSpbzB0FzinRNUmTSibZ

ゼミ紹介でも言いましたが、成績でゼミの許可を決めません。多様な人材が入るように、最大限考慮します。

 

ゼミ志望書の内容

1.自己紹介、内藤ゼミが第1志望かどうか。他のゼミと迷っていることを理由に、選抜・非選抜はしません。もし迷っているならば、このような本を読んでみればと、なにか参考になる参考書を推薦しますので、個別に話を聞きに来てください。

2.サブゼミと本ゼミに参加できるかどうか。(サブゼミに参加できない人は申し込まないで下さい。)

3. 高校生のとき、なぜ国際総合学類を志望したか。

4.ゼミの志望理由、

5.卒業後の希望進路(できるだけ詳しく)

6.私のゼミで、卒論のトピックとして何を研究したいのか?

(以上のような作文を応募者に課しているのは、3年の3月になって就職活動を始めたときに、自分が2年生の時点で何を考えていたのかを、君たちに記録してもらいたいからと、何に関心があるのかを知りたいからです。)

参考資料1:現在の学生が作ったゼミのホームページです。

参考資料2:以前ゼミの学生がつくった学生用のゼミのホームページです。yahooに作ったそうですが、いまでもなぜか残っています。

 

以下は、ゼミに関するQ&Aです。質問がたくさん来たので代表的なものをまとめました。

ゼミに関するQ&A

Q.3年の夏から留学予定ですがOKですか

A.全くOKです。留学は視野を広げるためにも経済的に余裕があれば勧めています。

Q.独立論文は必修ですか

A.独立論文は必修ではありませんが、そのようなものは書いてもらいます

Q. 今留学中で成績証明書がだせません。ゼミを申し込むときにどうしたらよいですか。

A.いままで履修した科目とその成績を書いて提出してください

Q.ゼミは英語でおこなわれますか?

A.本当は英語で行いたいですが、おこなうとdiscussionにならないので、日本語で行っています。もし参加者の75%の合意がえられれば、英語でおこなってもよいと考えています。

Q. ゼミで先生は何をおしえてくれるのですか?

A.ゼミは、通常の教師から生徒への一方的な情報伝達という形式ではありません。学生が、与えられた課題文献を、自分で読んで発表し議論し、それに関して皆で議論する、あるいは自分で調べた研究トピックに関しての研究成果を発表して、皆で議論するという形式です。ですのでゼミで養うことを目標としているのは、自分自身で考える力、読んだことを、自分自身の理解できる言葉に置き換える事ができる能力、内容が難しくて理解できない時に分かる部分から理解し、内容を想像する能力、自分の主張したい内容を説得的に説明するための例や実証分析を示す能力、簡潔に発表する力、他人の発表を聞いて理解しコメント質問をする能力、議論が錯綜しているときに整理する能力、自分で調べて他人を納得させる結論を導ける能力です。

いってみれば、通常の講義が知識の獲得を目標としているのに対して、ゼミは知力を上げることを目標としています。知識はgoogleで調べればすぐに得ることができますが、知力はそうはいきません。 実際社会において重要視されるのは、知識ではなく、知力であるため、ゼミの活動は非常に重要であると考えています。

 

 

ゼミでのコミュニケーション能力が高い学生は、就職活動をみていてもうまくいっているようです。ですので、やはりこのような知力を鍛えることは重要だと思います。

ただし、マクロ、ミクロの基本的な事、計量経済学の基本的な事、学生がつまづきそうな事は、必要な時はゼミで教えます。

Q. 国家公務員試験の受験を考えていますが、先生のゼミは役にたちますか

A.国家公務員試験、地方公務員試験を考える国際総合の学生は多くいます。ゼミが予備校のような受験対策クラスを提供しないという意味では役に立ちません。ですが、財政学は公務員試験の重要科目であり、私の専門の公共経済学は一昔まえは財政学とよばれていました。また経済学も公務員試験の重要科目です。ですので筆記試験に関して、どのように勉強をすればよいかはアドバイスできます。また現在公務員試験で重要視されているのは筆記試験の後の面接です。ここで経済学的な見方ができるかのセンスが問われます。ゼミのディスカッションを通じて経済学的センスを磨くのは非常に重要だと思います。私のゼミで数年前に国家公務員試験をうけ、現在経済産業省で働いている卒業生もいます。他の経済系のゼミでも、卒業生で厚生労働省で働いている学生もいます。経済系のゼミで、経済学のセンスを養うのはわるくない選択だと思います。

Q. 卒論のトピックは先生の研究テーマに近くなくてはいけないのでしょうか?

A.卒論にあたっては、学生にトピックの選択が、卒論を面白しろさの50%ぐらいを決めるといっています。そして、私の専門に関係なく、15年後ぐらいに重要になりそうな社会問題、経済問題に関して研究しなさいといっています。私は、経済学研究者の中ではかなりジェネラリストであると自負があります。これは、私が研究をはじめた専門分野が公共経済学という政策を評価する分野のため、いろいろな事を知っていなければならない学問だからです。君たちの卒論のトピックは、どんなものでも、かなり深く理解する自信があります。ですので卒論のトピックは全く自由です。あなた方の創造性を100%発揮して、面白いトピックをみつけてください。

Q.ゼミの行事はどのようなものがありますか

A.これは学生の主体性によります。非常に主体的な学生が多い年には、学生がみずから企画して、夏ゼミ合宿、ゼミのテニス大会、冬ゼミ合宿などをやりました。夏ゼミ合宿は、那須にある公共施設「国立青年の家」に宿泊しました。勉強、テニス、バーベキューと那須岳登山をしました。冬ゼミ合宿は、群馬大学の「草津セミナーハウス」に宿泊して、スキーをしました。勉強もする予定でしたが、私も皆もスキーがしたかったので勉強はしませんでした^^;

スポーツデーのソフトボール大会に参加したり1秋の夜に筑波北公園のナイターでテニス大会をしたこともあります。学生の主体性によります。

今年は、草津温泉にある群馬大学のセミナーハウスにとまり、バーベキュー、勉強、飲み会、テニス大会、温泉を楽しみました。テニス大会では、ダブルスでペアをつくり、私も参加しました。たくさんのスーパーショットがでて、盛り上がりました。(私の組は残念ながら、優勝できませんでした。冬合宿では、昼間は、スキー、夜は、卒論発表、独論発表、を行いました。

Q.先生のゼミに入りたいのですが、先生の授業でCをとってしまいました。こんな私でも先生のゼミにはいれますか?

A.ゼミの申し込みで書いてあるように、成績だけで入ゼミを決めることはありません。ゼミでのディスカッションを活発にするため、多様な学生が入ってくるように最大限の考慮をします。実際、私のマクロ経済学でCを取った人もゼミにいます。また2年の時に履修していなかった人も入っています。ゼミへの選考に当たっては、本人のやる気を見ます。

Q.データを使った実証分析を卒論で書きたいのですが、先生のゼミで、できますか。

A.現在私の研究関心の半分以上は、データを使った実証分析です。ですのでもちろんできます。私のゼミでもほとんどの学生は、理論ではなく、データをつかった実証分析で卒業論文を書いています。

Q. 私は、スキーもスノーボードもテニスもできません。こんな私でもゼミに入ることができるでしょうか。

A.スキースノーボードを全くやったことがない人もゼミのスキー合宿に一緒にいって楽しんでいました。もしあなたが、新しいことを学ぶことに関心があるのならOKです。 経験者が2名しかいないにも関わらず、テニス大会をしたこともあります。全く気にしなくてOKだと思います。経済学の新しいことを学ぶ事と新しいスポーツを学ぶことはすこし似ています。両方とも、最初始めるときにすこし勇気がいることです。もしあなたがその勇気があるならOKです。

Q.私は、社会学類所属ですが先生のゼミに参加できますか。

A.このゼミは、国際学類の科目に登録されています。ですので、このゼミに参加したとしても社会学類のゼミの単位には入れることができません。その事を理解したうえでならば、ゼミの参加は問題ないです。応募要領通りに応募してください。

Q.私は、大学院志望です。先生のゼミは向いていますか。

A.いままで、アメリカと日本の大学で教えてきて、私のゼミを経て大学院にすすみ、経済学の博士号を取得している人+あとわずかで取得の人=4名います。(最終的にアメリカで博士号を取った人3名、日本で取った人1名。) 大学院に進学を志望する場合、まず経済学に関する学力の向上が大事です。ですので、私の研究分野に縛ることはせず、経済学全般の学力向上を目指し、かつ学生のやりたい研究をやらせています。彼らの最終的な経済学博士号の博士論文の研究の分野はいろいろで、労働経済学、環境経済学、マクロ経済学に関するものです。 もし大学院志望の場合は、彼らに指導したように、どのような本を3年時終了までに読めば良いのか、どのように勉強をすれば良いのか、躓きそうなことなどを教えます。

 ただし、研究者としての道は、才能の向き不向きが大きくあります。これは残念ながらやる気だけでは解決できない問題です。経済学は、ある程度、社交性があり、いろいろな社会問題に関して議論がすきな人が向いています。また頭の良さももちろん必要です。また、将来、日本の大学で研究者として働きたいと思っている場合、日本はこれから超少子化社会になるため、これから大学はますます淘汰され、君たちが博士号をとったとしても、日本では就職できない可能性が高いわけです。となると、研究者になった場合、北米やヨーロッパや途上国の大学で働く事になります。そのような事がストレスに感じる人は、やはりこの仕事は難しいかもしれません。また大学院まですすんで途中で、諦めた場合、かえって就職状況が悪くなる可能性が大いにあります。いわゆる高学歴ワーキングプアーという現象です。こういう事情があるので、大学院に進むと言う決定を安易には、して欲しくないと思っています。

 ですので、3年の秋ごろに本人の才能などを見て、向いているか向いていないかを、アドバイスします。もちろん、私のアドバイスを受け入れる必要はありません。最終的に決定するのは、学生自身です。